Meta Platforms社が開発するAIモデルのシリーズである「Llama」は、高性能で費用対効果が高く、比較的寛容な条件で頒布されていると多くの人々から見做されていることからシステムへの採用や派生モデルの開発等の利用が拡大しているように見受けられる。しかし、Meta社のCEOが自ら「Llamaはオープンソースである」と喧伝することで本当にLlamaがオープンソースであると誤解する傾向もあり、またLlamaライセンス契約自体に幾つかの厄介な問題が潜んでいるにも関わらず採用が進むことで今後法的な問題が生じかねないと考えられる。そこで本稿では、先ずLlamaライセンス契約のオープンソースへの適合性から解説することとする。
なお、Llamaライセンス契約のモデル利用時における注意点に関しては別の記事とする。

Llamaのオープンソースへの適合性
Llamaモデルに適用されているLlamaコミュニティライセンス契約(Llama Community License Agreement)は、ライセンスや著作権に関する知識が乏しい方からするとオープンソースライセンスと然程変わらないように見えるようである。Llamaライセンス契約は、使用、再製、頒布、コピーといった利用に関して制限されてはいるがある程度の自由を規定し、派生物の作成までを明示的に認めているので、オープンソースライセンスの特徴を幾らか含んでいることは確かであろう。しかし、ライセンスがオープンソースであることを証明する唯一の組織であるOpen Source Initiativeが規定するオープンソースの定義(OSD:Open Source Definition)に照らし合わせると、Llamaライセンスは様々な観点でオープンソースへの適合性がないことが明らかである。下記では、Llamaライセンス契約の条項を示しながら、Llamaがオープンソースではない理由を一つずつ示していく。
1. オープンソース性を否定する主要な理由
Llamaライセンス契約がオープンソースではない理由は幾つも挙げることができるが、契約が目指す目的に沿った根本的な理由と考えられる条項は下記の巨大企業における使用制限と利用規約の存在に絞られると考えられる。
1.1. 7億人のアクティブユーザー制限
セクション 2 条文
“If, on the Llama 3.1 version release date, the monthly active users of the products or services made available by or for Licensee, or Licensee’s affiliates, is greater than 700 million monthly active users in the preceding calendar month, you must request a license from Meta …”
(Llama 3.1のバージョンリリース日において、ライセンシーまたはライセンシーの関連会社によって、もしくはライセンシーまたはライセンシーの関連会社に対して提供される製品またはサービスの月間アクティブユーザー数が直前の暦月において7億人を超える場合、あなたはMetaからのライセンスを要求しなければならず、)
Llamaライセンス契約のセクション2は、そのまま字面通り月間7億人のユーザーを抱える企業はLlamaモデルをMeta社の許諾なしでは使用できないと規定している。これは実質的に自社を脅かす巨大企業に対してLlamaを使用させないことを意図しているのだろう。このような制限はOSD 5条の「個人やグループに対する差別の禁止」に抵触する。
今時であれば巨大企業は十分に儲けているので問題にならないという主張もあると思うが、オープンソースというものはそのような組織の大小や性質に関わらず自由を認めることで発展してきた概念であることに留意しなければならない。また、Llamaモデルを組み込んだサービスや派生モデルを開発する企業が巨大企業を顧客もしくはM&Aの相手とすることも制限されるというビジネス上の問題も出てくるだろう。
なお、この制限をLlamaを採用するサービス若しくはプロダクトのユーザー数であると考える者がいるようだが、ライセンシーである企業全体で抱えるユーザー数であり、当然ながら複数のサービスを展開していればそれを考慮することになる。また、ライセンシー企業単体だけではなく、50%以上の持分関係で繋がる全ての子会社や親会社のユーザーも考慮に入れる必要がある。これについては別稿でも触れる。
1.2. 契約へ組み込まれる利用規約の存在
セクション 1.b.iv 条文
“Your use of the Llama Materials must … adhere to the Acceptable Use Policy for the Llama Materials (available at https://llama.meta.com/llama3_1/use-policy), which is hereby incorporated by reference into this Agreement.”
(Llamaマテリアルに関する利用規約(https://llama.meta.com/llama3_1/use-policy で入手可能)に従う必要があります。このポリシーは、参照することによって本契約に組み込まれます。)
Meta社はLlamaモデルの使用者がモデルの使用に際して遵守すべき事項を利用規約(Acceptable Use Policy)として別途定めており、セクション 1.b.ivではこの利用規約が「参照によってLlamaライセンス契約に組み込まれる」ことを規定している。この契約に「組み込まれる」ということは契約の一部となるということであり、つまり利用規約はライセンス契約の拡張された一部ということになる。
利用規約では、おおまかに (1)法律に反する利用または第三者の権利を害する利用、(2)個人に死亡または身体的侵害のリスクをもたらす活動の企画・開発に従事し、もしくはこれを促進、扇動、促進、支援すること、(3)意図的に他人を欺いたり、誤解させたりする利用、(4)AIシステムの既知の危険性をエンドユーザーに適切に開示しないこと、といった行為を禁止することが定められている。これらの行為が社会的に望ましくない行為であることは事実であるが、こういったいわば倫理的条項と言える条文で一般的に合法であるはずの行為まで利用の制限を行うことはOSD 6条の「利用する分野(fields of endeavor)に対する差別の禁止」に抵触する。
これについても「人々に対して正しくAIモデルを利用させることが何故ダメなのだ?」という意見があるだろうが、ここでの正しい利用行為とは何なのだろうか?また、その正しさは誰が決めるのだろうか? 利用規約で曖昧に記述されている数々の望ましくない行為は、結局の所、Meta社が恣意的に判定するのである。
そして、ライセンス契約のセクション 7で規定されるように準拠法はカリフォルニア州法であり、また、Meta社は米国企業であることから当然ながら米国の文化、慣習で倫理的な正しさを判断することになる。米国内の組織や個人であれば大きな問題は発生しにくいだろうが、本邦のように異なる慣習と法体系を持つ国々からすれば、ライセンシー側が全く意図せずにライセンス契約に違反してしまうことは発生するだろう。2024年に大きな問題となったVisaの決済停止問題と類似の事案が起きる可能性もあるだろう。なお、セクション 6では、Meta社がライセンス契約に違反したと見做した場合に随時契約を終了できることが明記されており、GNU GPLにあるような救済期間等は特に存在していない。
1.3. 随時拡張可能な利用規約
前項における利用規約に関連する問題はもう一つ存在する。利用規約は「参照によって契約に組み込まれる」と契約の条文に明記されているが、これは指定されている場所に置かれている利用規約の内容が逐次有効となることを示しており、さらにその指定場所はMeta社のWebサイト内であるわけなのでMeta社がいつでも恣意的に利用規約を改変することが可能になっている。利用規約はLlamaライセンス契約に組み込まれているので、事実上、利用規約を改変することでライセンス契約本体の条件すら変更することも可能であり、これはOSD 7条の「ライセンスの分配(distribution)」に抵触することになる。
突然、多くの企業が別途の有償契約を結ばなければならなくなるように追い込むような条文を事後に追加することも可能であり、信義誠実及び公正取引等の観点からある程度の妥当性があればおそらくそれは有効と認められるのだろう。そもそもこのような仕組みはOSDに違反するという以前の問題である。
上場企業であるMeta社がそのような蛮行はしないと主張する方もいると思うが、Llama 3.2の利用規約ではセクション 1.a.で付与されている「Llamaマテリアルを使用、再製、頒布、コピー、派生作品の作成および改変」する権利がEU市民から取り上げる条文が利用規約に追加されている。これはもはやオープンソースであるかどうかを検討するレベルに一切達していないと言えるし、ライセンス契約の主要部分を使用法に関する注意事項を規定するはずの利用規約側で否定するという仕組みにも問題があると言える。
“With respect to any multimodal models included in Llama 3.2, the rights granted under Section 1(a) of the Llama 3.2 Community License Agreement are not being granted to you if you are an individual domiciled in, or a company with a principal place of business in, the European Union.”
(Llama 3.2に含まれるマルチモーダルモデルに関して、あなたがEUに居住する個人または主たる事業所をEUに置く企業である場合、Llama 3.2コミュニティ・ライセンス契約のセクション1.aに基づいて付与される権利はあなたへ付与されません。)
さらに、Llama 3.2の利用規約では下記の条文も追加されているが、これらの条文は安全性を名目にしつつ、安全性を検証することを阻害することになると考えられる。これはいずれもLlamaモデルの挙動を研究する自由を奪うことになり、オープンソースの根本的な原則に反するとも言えるだろう。
h. Engage in any action, or facilitate any action, to intentionally circumvent or remove usage restrictions or other safety measures, or to enable functionality disabled by Meta
(使用制限またはその他の安全対策を故意に回避または削除する行為、または無効化された機能を使用可能にする行為を行うこと、またはそのような行為を助長すること)
5. Interact with third party tools, models, or software designed to generate unlawful content or engage in unlawful or harmful conduct and/or represent that the outputs of such tools, models, or software are associated with Meta or Llama 3.2
(違法なコンテンツの生成、違法または有害な行為を目的として設計された第三者のツール、モデル、ソフトウェアと相互に作用すること、および/または、そのようなツール、モデル、ソフトウェアの出力がMetaまたはLlamaに関連していると表明すること)
2. オープンソース性を否定するその他の理由
Llamaのオープンソース性を否定する論拠としては前項までで十分過ぎると考えられるが、Llamaライセンス契約には他にもオープンソースライセンスに適合しない内容が含まれている。それらを列挙し、解説する。
2.1. 派生作品のブランド化/命名に関する制限
セクション 1.b.i 条文
“Prominently display “Built with Llama.””
(「Built with Llama」を明示的に表示しなければなりません)
“If you use the Llama Materials or any outputs or results of the Llama Materials to create, train, fine tune, or otherwise improve an AI model, which is distributed or made available, you shall also include “Llama” at the beginning of any such AI model name.”
(LlamaマテリアルまたはLlamaマテリアルの出力若しくは結果を使用して、AIモデルを作成、トレーニング、ファインチューニング、または改良し、それを頒布する場合、そのAIモデル名の先頭に「Llama」を含めるものとします。)
セクション 1.b.iは派生作品を頒布する際にLlamaライセンス契約のテキストを添付することに加え、「Built with Llama」という文言を製品のWebページやドキュメント等に目立つように表示することと派生モデルの名称の先頭に「Llama」を含めることを強制している。これは、OSD 8条の「特定製品でのみ有効なライセンスの禁止」に抵触するだろう。通常、オープンソースであるライセンスは著作権の帰属表示を正しく表示することを求めるが、Llamaライセンス契約のように特定の名称やブランディングを強制せず、自由な派生と再頒布を認めている。つまり、Llamaはこの点で派生と頒布の自由を妨げていると言える。
名称程度は大した制限ではないと思われるかもしれないが、これは派生部分が明らかに巨大であろうが関係なく契約関係が継続する限りこの制限が継続する。Metaからすれば派生モデル開発者がわざわざ自社のブランディングに寄与してくれるということである。
2.2. 契約を譲渡することの禁止
セクション 1.aでは、ライセンシー側に付与される権利について規定されているが、ここでLlamaライセンス契約が「譲渡不可能」(non-transferable)であることが明記されている。これはOSD 1条「再頒布の自由」に抵触することになるだろう。
ここで「派生モデルを作成し、その頒布までの権利が認められているのに譲渡不可能とはどういう意味だ?」と不思議に思う方がいるかもしれない。これは、派生モデルの頒布時にはそれを受領した派生モデル利用者はMeta社と新規でLlamaライセンス契約を結ぶことになり、よって派生モデル開発者から派生モデル利用者へ契約を譲渡しているわけではないので、そのようなケースが問題になるわけではない。では、どういったケースが問題になるかと言えば、Llamaモデル利用時に結ばれたLlamaライセンス契約でのライセンシーとしての立場をそのまま第三者へ移譲させないとならないようなケースにおいて、契約がMetaの許諾がない限りは譲渡不可能であるとされているのである。これは企業の買収、合併、事業譲渡においてLlamaのライセンシーである企業が消滅するような場合に問題が発生することになる。
2.3. 出力にまで伝播する契約
セクション 1.b.i 条文
“If you use the Llama Materials or any outputs or results of the Llama Materials to create, train, fine tune, or otherwise improve an AI model, which is distributed or made available, you shall also include “Llama” at the beginning of any such AI model name.”
(LlamaマテリアルまたはLlamaマテリアルの出力若しくは結果を使用して、AIモデルを作成、トレーニング、ファインチューニング、または改良し、それを頒布する場合、そのAIモデル名の先頭に「Llama」を含めるものとします。)
再度のセクション 1.b.iの掲載となるが、上記の条項はLlamaライセンス契約バージョン3.1以降において追加された条項である。この条項は既に触れているようにLlamaの派生モデルの名称に制限を加える規定であるが、よく見るとLlamaマテリアルだけでなくLlamaモデルの出力若しくは結果を学習データとして利用することを含めていることが分かる。つまり、モデルの出力および出力を学習へ利用したモデルにまで権利付与のための条件を継承させていることになる。
これを単にGNU GPL等のコピーレフトのようなものと考える勢力もいるとは思うが、コピーレフトはあくまで当該ソフトウェアの著作権が及ぶ範囲において各国で認められる正当な権利に基づく仕組みである一方で、Llamaモデルの出力がモデル自身の知的財産権を継承するものであるかは甚だ疑わしい。トレーニングデータに依拠するという考え方は一部にはあると考えられるが、結局の所はモデル出力は確率論的な結果に過ぎない。このような計算機による確率論の結果を介してライセンス契約の条件の継承させるという試みは、良く言えば斬新、悪く言えば暴挙であろう。オープンソースのライセンスは全世界的に各国の著作権法で認められる権利に対して自由を付与する仕組みであるが、Llamaライセンス契約はその範囲を越える領域にまで自社の制御を及ぼそうとしている。少なくともオープンソースが希求する自由とは相反すると考えられる。
2.4. 商標に関しての追加的な制限
セクション 5.a.において、商標使用のライセンスが付与されないことが明記されている。商標ライセンスが付与されないことが明記されているオープンソースのライセンスは幾つも存在し、そのこと自体は問題にはならない。しかし、前述したようにLlamaという名称を派生モデルにまで使用を義務づけておきつつ、さらにセクション 5.a.においてそのような限定的な商標使用においてもMeta社のブランドガイドラインへの遵守を追加的に義務付け、その使用から生じるのれんまでMetaに帰属することが定められている。これはオープンソース性の議論からはやや離れた問題ではあるが、制限的であることは事実だろう。
2.5. 契約としての性質
オープンソースライセンスは各国の著作権法に基づいて著作権者が予め宣言する著作物の利用許諾である。幾つかの訴訟にてライセンスの契約性から生じる執行の強制力が認められたことで契約としての側面も考慮するようになりつつあるが、グローバルなコミュニティ内では実務上においてやはり権利者による一方的な許諾であると見做し、それによってエコシステム拡大の連鎖を作り上げていると考えられている。これは準拠法が明記されているような形式のライセンスでも基本的には変わりない。
一方、Llamaライセンス契約は名称そのもので既に契約だと宣言しているようなものだが、同意ボタンのクリックやLlamaの利用によってライセンシー側が契約に拘束されることを同意させる仕組みになっていること、ならびに契約テキストの各所でMeta社に発生する知的財産権に基づく権利以上の制約をライセンシー側へ課していることなどから、明らかにライセンスというよりも契約としての体裁が備わっている。実際、Meta社からのモデルのダウンロードに際してはサインが求められるので、著作権ライセンスではなく米国契約法に基づくMeta社と各ライセンシー間における二者間の商取引という体裁となっている。
この仕組み自体が即座にオープンソース性を否定するものではないが、Llamaの場合はこれまでに指摘してきた事項で発生する契約上の義務の解釈が、米国契約法の原則を通じて文字通りの契約テキストを超えて拡張され、強制力を高める方向へ寄与すると考えられるだろう。これは、オープンソースの根本原則である様々な自由を損なう方向へ圧力をかけていくことになるだろう。
3. オープンソースAI
ここまでに指摘した数々の事項に照らし合わせれば、Llamaライセンス契約はOSDのほとんどの条項に適合せず、Llamaがオープンソースではないことは明らかである。これに対して、AIモデルは一般的なソフトウェアと異なり、OSIによるオープンソースの定義に拘束されることはないという詭弁も一部にある。その論拠となるものはOSD 2条「ソースコード」であり、そもそもOSIのオープンソースはソースコードが存在するソフトウェア向けの定義でしかないということを言いたいのだろう。
このような意見を意見を封じることも目的に含め、私を含む世界の有志が2年間の共同設計プロセスを経て「オープンソースAIの定義」(OSAID: Open Source AI Definition)を2024年10月までに作り上げた。OSAIDはモデル、コード、データと様々なコンポーネントから構成されるAIシステムがオープンソースAIを名乗るための条件と言えるものであり、モデル単体のようなコンポーネント単位でのオープンソース性を判断するものではない。しかし、その策定プロセス中において「AIモデルにおけるソースコードとは何か?」という疑問は当然ながら幾度も議論された。その議論において、AIトレーニングという演算における最終的な結果物であるモデルには世界の多くの法域における解釈ではトレーニングデータに発生している知的財産権が残存せず、さらに、データ自身がモデルを制御しているわけでもないことから、トレーニングデータがAIモデルのソースコードと言えるかは疑問視する見方が強かったと思う。そうは言っても、トレーニング過程からを含めて全てのソースコードとウェイトを含むモデルの実体が完全にオープンソースの定義の根本的理念に適合し、さらに全てのトレーニングデータに完全な透明性があることは、AIシステムがオープンソースと見做す上でコンセンサスが取れている考え方である。そして、これはほぼそのままOSAIDの考え方でもある。
Llamaライセンス契約が「オープンソースの定義」に全く適合しないことは明らかであるが、仮にその契約がオープンソースに適合したとしても、Llamaモデルに関連するソースコードとデータセットは完全に公開されているわけではなく、オープンソースのAIシステムである見做すことはできないだろう。
4. むすび
LlamaモデルならびにLlamaライセンス契約のそれぞれがオープンソースの定義とオープンソースの原理原則に適合しないことは明らかである。Meta社にはMeta社の裁量でライセンスを定める自由があるが、オープンソースではないライセンスをオープンソースであると喧伝することはオープンソースコミュニティがこれまで拡大させてきたエコシステムの価値を毀損させる行為であり、このような行為は慎まなければならない。
また、Llamaの利用者は、Llamaライセンス契約の本質を正しく理解し、開発したLlama利用のサービスやLlama派生モデルの利用者にどのような影響が及ぶのかを逐次把握しなければならない。特に契約組込み型の利用規約についてはその影響力を軽視する風潮が強いように見え、多大な投資を無駄にすることのないように努める方が良いだろう。
なお、Llamaのオープンソース性とは直接的に関係のないLlamaライセンスの契約の問題点に関しては前述のように別稿で取り上げることとする。
参考:
オープンソースとは何か? Open Source Definition逐条解説書:
オープンソースAIとは何か? – Open Source AI Definition策定経緯とドラフト版概説:
オープンソースAIとは何か? –「オープンソースAIの定義 v1.0」詳細解説:
LLAMA 3.1 コミュニティライセンス契約 日本語参考訳
Llama 3.1 バージョンリリース日: 2024年7月23日
「契約」とは、本契約書に記載されているLlamaマテリアルの使用、複製、頒布および改変に関する条件を指します。
「ドキュメンテーション」とは、Metaが https://llama.meta.com/doc/overview にて頒布するLlama 3.1に付随する仕様書、マニュアル、および文書を指します。
「ライセンシー」または「あなた」とは、あなた、あなたの雇用主、またはこの契約をその人または団体のために締結している場合、法的な同意を提供するために必要な年齢に達しており、かつその雇用主またはその人や団体を法的に拘束する権限を持っているその他の個人または団体を指します。
「Llama 3.1」とは、Metaが https://llama.meta.com/llama-downloads で頒布する機械学習モデルコード、トレーニングモデルの重み、推論を可能にするコード、トレーニングを可能にするコード、ファインチューニングを可能にするコード、およびこれらに付随するその他の要素を含む、大規模言語モデルおよびソフトウェアおよびアルゴリズムを指します。
「Llamaマテリアル」とは、本契約の下で提供されるMeta独自のLlama 3.1およびドキュメンテーション(およびその一部)を総称して指します。
「Meta」または「我々」とは、あなたもしくはあなたが法人である場合に主たる事業所ががEEAまたはスイスに所在する場合はMeta Platforms Ireland Limited、その他の場合はMeta Platforms, Inc.を指します。
以下の「同意する」ボタンをクリックするか、Llamaマテリアルの一部または要素を使用または頒布することにより、あなたは本契約に拘束されることに同意することになります。
1. ライセンスの権利と再頒布
a. 権利の付与: あなたは、Llamaマテリアルに含まれるMetaの知的財産またはその他の権利に基づいて、Llamaマテリアルを使用、再製、頒布、コピー、派生作品の作成、および改変するための非独占的、世界的、譲渡不可能でロイヤルティフリーの限定的なライセンスが付与されます。
b. 再頒布と使用:
i. あなたがLlamaマテリアル(またはその派生作品)またはLlamaマテリアルを含む製品やサービス(他のAIモデルを含む)を頒布もしくは利用可能にする場合、あなたは (A) 当該のLlamaマテリアルとともに本契約書の写しを提供し、(B) 関連するWebサイト、ユーザーインターフェース、ブログ投稿、概要ページ、または製品ドキュメントに「Built with Llama」を明示的に表示しなければなりません。LlamaマテリアルまたはLlamaマテリアルの出力若しくは結果を使用して、AIモデルを作成、トレーニング、ファインチューニング、または改良し、それを頒布する場合、そのAIモデル名の先頭に「Llama」を含めるものとします。
ii. あなたがライセンシーから統合エンドユーザー製品の一部としてLlamaマテリアルまたはその派生作品を受け取った場合、本契約の第2条はあなたに適用されません。
iii. あなたが頒布する全てののLlamaマテリアルのコピーには、「Notice」テキストファイル内に次の帰属表示を保持する必要があります:「Llama 3.1はLlama 3.1 コミュニティライセンス契約の下でライセンスされています。Copyright © Meta Platforms, Inc. All Rights Reserved.」
iv. あなたによるLlamaマテリアルの使用は、適用される法律および規制(貿易コンプライアンスに関する法律および規制を含む)を遵守し、Llamaマテリアルに関する利用規約(https://llama.meta.com/llama3_1/use-policy で入手可能)に従う必要があります。このポリシーは、参照することによって本契約に組み込まれます。
2. 追加の商用条件: Llama 3.1のバージョンリリース日において、ライセンシーまたはライセンシーの関連会社によって、もしくはライセンシーまたはライセンシーの関連会社に対して提供される製品またはサービスの月間アクティブユーザー数が直前の暦月において7億人を超える場合、あなたはMetaからのライセンスを要求しなければならず、Metaは独自の裁量であなたにライセンスを付与することができ、Metaが明示的に当該権利をあなたへ付与しない限り、もしくは付与するまで、あなたは本契約に基づく権利を行使することは許可されません。
3. 保証の免責: 適用法で義務付けられていない限り、Llamaマテリアルおよびそれらから生じるあらゆる出力および結果は、「現状有姿」で提供され、いかなる種類の保証も付されず、Metaは明示的または黙示的かを問わず、所有権、非侵害、商品性、または特定の目的への適合性に関する保証を含むがこれらに限定されずあらゆる種類の保証を全てを否認します。あなたは、マテリアルを使用または再頒布することの適切性を判断する全責任を負うものとし、Llamaマテリアル、出力、結果の使用に関連するリスクを全て負うものとします。
4. 責任の制限: いかなる場合においても、Metaまたはその関連会社は、契約、不法行為、過失、製造物責任、またはその他の責任理論に基づくかを問わず、本契約に起因する逸失利益または間接的、特別、結果的、偶発的または懲罰的損害賠償について、Metaまたはその関連会社がこれらの可能性を認識していたとしても、一切責任を負わないものとします。
5. 知的財産:
a. 本契約の下で商標ライセンスは付与されず、Llamaマテリアルに関連して、Metaまたはライセンシーのいずれも他方またはその関連会社が所有する、またはそれらに関連する名称または商標を使用することはできません。ただし、Llama素材を合理的かつ慣例的に説明し再頒布するために必要な場合、または本第5条(a)項に定める場合を除きます。Metaは、本契約により、第1条b項iの最後の文章に従うために必要な場合のみ、「Llama」(「マーク」)を使用するライセンスを貴社に付与します。あなたはMetaのブランドガイドライン(現在は https://about.meta.com/brand/resources/meta/company-brand/ でアクセス可能)を遵守するものとします。マークの使用から生じるすべてののれんは、Metaに帰属するものとします。
b. Metaが作成したLlamaマテリアルおよびMetaによるまたはMetaのための派生物の所有権に従い、あなたが作成したLlamaマテリアルの派生作品および改変作品に関しては、あなたとMetaの間で、あなたは現在および今後もそれらの派生作品および改変作品の所有者となります。
c. あなたがMetaまたは他の法人に対して、訴訟またはその他の手続き(訴訟における反訴または反論を含む)を起こし、LlamaマテリアルまたはLlama 3.1の出力や結果、またはいずれかの一部があなたの所有またはライセンス付与可能な知的財産権またはその他の権利を侵害していると申し立てる場合、訴訟または申し立てが提起または開始された時点で、本契約に基づきあなたに付与されたライセンスは終了するものとします。あなたは、Llamaマテリアルの使用または頒布に起因もしくは関連する第三者からの請求について、Metaを免責し、損害を与えないものとします。
6. 期間および終了: 本契約の期間は、あなたが本契約を受け入れるかLlamaマテリアルにアクセスした時点で開始され、本契約の条件に従って終了するまで有効に継続するものとします。Metaは、あなたが本契約のいずれかの条項に違反した場合、本契約を終了することができます。本契約が終了した場合、あなたはLlamaマテリアルを削除し、その使用を中止するものとします。第3条、第4条および第7条は本契約の終了後も有効に存続するものとします。
7. 準拠法および管轄権: 本契約は、法の選択に関する原則に関わらず、カリフォルニア州法に準拠し、解釈されるものとし、国際物品売買契約に関する国連条約は本契約には適用されないものとします。本契約に起因する紛争に関しては、カリフォルニア州の裁判所が排他的管轄権を有するものとします。