NVIDIA Open Model Licenseのオープンソース性と利用における問題点のメモ

先日、NVIDIAがリリースしたオープンウェイトのAIモデル「Nemotron 3」に関し、それをオープンソースだとして誤って報道するメディアが散見される。それらによってNemotron 3のライセンスであるNVIDIA続きを読む “NVIDIA Open Model Licenseのオープンソース性と利用における問題点のメモ”

生成AIツールを利用して開発されたソースコードにはどこから著作権が発生するのか?

GitHub Copilotが登場した頃、多くの開発者はコーディングの補助ツールと捉えていた。「役に立つのは分かるが、コーディングの全てを任せるようなツールではない」というのが多くの開発者の素直な感想だっただろう。しかし続きを読む “生成AIツールを利用して開発されたソースコードにはどこから著作権が発生するのか?”

GPLコードを学習したAIモデルにGPLが伝播するという理論の現在地

2021年にGitHub Copilotが登場した当時、そのモデルの学習データにGitHub上のあらゆる公開されたオープンソースのソースコードが含まれていることが大きな注目を集め、ライセンスに関する議論が活発にされた。ほ続きを読む “GPLコードを学習したAIモデルにGPLが伝播するという理論の現在地”

GEMA v. OpenAI (ミュンヘン第一地裁)判決雑感

ドイツの音楽著作権管理団体であるGEMAが、ChatGPTの運営元であるOpenAIを相手取りミュンヘン第一地方裁判所へ提起した訴訟において、GEMAが求めていた差止、情報開示、および損害賠償の請求を実質的に認める広範な続きを読む “GEMA v. OpenAI (ミュンヘン第一地裁)判決雑感”

過剰で厳格なCode of Conduct(行動規範)が多くのオープンソース・プロジェクトに不要な理由

オープンソースのプロジェクトで採用されているCoC (Code of Conduct, 行動規範)を巡る議論が、一つの転換点を迎えているかもしれない。2025年9月、Rubyのエコシステムを支えるRubyGemsのガバナ続きを読む “過剰で厳格なCode of Conduct(行動規範)が多くのオープンソース・プロジェクトに不要な理由”

契約としてのオープンソース・ライセンスの歴史と現実に迫る違反リスク :契約×著作権の二層執行の時代へ

米国においてオープンソース・ライセンスが契約ではなく「著作権の一方的な許諾」であると長らく見做され、Jacobsen v. Katzerの訴訟でその効力が法的にも認められるようになった流れは前回の記事で解説したが、一方で続きを読む “契約としてのオープンソース・ライセンスの歴史と現実に迫る違反リスク :契約×著作権の二層執行の時代へ”

Grok 2.5がオープンソースではない理由とそのライセンスの問題点

2025年8月、イーロン・マスク率いるxAIがGrok 2.5のモデルウェイトをHugging Face上で公開した。報道では「オープンソース化」と表現され、マスク氏自身も「Grok 2.5モデルをオープンソー続きを読む “Grok 2.5がオープンソースではない理由とそのライセンスの問題点”

一方的許諾としてのオープンソース・ライセンスの概念はどこから来たのか?

日本ではオープンソースライセンスをライセンス契約として見做すことが一般的な見解であり、これはEUでも同様である。しかし、オープンソースのあらゆる側面においての原点である米国では、オープンソースライセンスは契約ではなく「著続きを読む “一方的許諾としてのオープンソース・ライセンスの概念はどこから来たのか?”

OpenMDWライセンス初期評価:オープンAIライセンスの革命か、オープンウォッシュの免罪符か?

オープンソースライセンスで頒布されるAIモデルが増えてきてはいるが、トレーニングデータを含めた全ての関連コンポーネントがオープンであるAIシステムには幾つかの有望なシステムが生まれているものの未だ発展途上にあると言える。続きを読む “OpenMDWライセンス初期評価:オープンAIライセンスの革命か、オープンウォッシュの免罪符か?”

オープンソースプロジェクトはAI生成コードをどのように受け入れるべきか? — QEMUの禁止ポリシーからの教訓

QEMUプロジェクトは、AIツールによって生成されたコードによる貢献を拒否する方針を正式に取り決めた。その核心的な理由は、貢献者が提出するパッチの正当性を証明するために用いているDeveloper’s Cer続きを読む “オープンソースプロジェクトはAI生成コードをどのように受け入れるべきか? — QEMUの禁止ポリシーからの教訓”

何故、DebConfは日本で未開催なのか?自由の闘士を来日させる道程

Debian Projectが毎年開催している開発者会議「DebConf」というイベントがある。もう随分と長い歴史があるのだが、一度として日本で開催したことはない。日本ではDebian GNU/Linuxが受け入れられて続きを読む “何故、DebConfは日本で未開催なのか?自由の闘士を来日させる道程”

AIは仕事を奪うのか?AIと人間はどちらが最終決定を担うのか?

AGIという言葉が至る所で叫ばれているが、人間の行動のあらゆる側面が本当にAIに置き換えられるようになるのだろうか?現時点において依然として自分は懐疑的に見ている。 例えば、ソフトウェア領域においては間もなくAIが大規模続きを読む “AIは仕事を奪うのか?AIと人間はどちらが最終決定を担うのか?”

AIモデルがオープンソースであるために完全な学習データの公開は必要なのか?

DeepSeekは世界に衝撃を与えているが、その要因としては、中国から米国の巨大AIベンダーを脅かす新たな勢力が現れたことに加え、AIモデルがMITライセンスというオープンソースライセンスでも頒布されている点が大きいと考続きを読む “AIモデルがオープンソースであるために完全な学習データの公開は必要なのか?”

DeepSeekは何故ユーザーの検閲を行いつつオープンソースなのか? – 中国における生成AI規制

DeepSeekアプリがユーザーの入力や出力といった情報を中国内のどこかに送信している可能性について世界中で大騒ぎとなっているが、これは特に今始まったことではなく中国の国内法に依拠する問題である。元々この文書、というより続きを読む “DeepSeekは何故ユーザーの検閲を行いつつオープンソースなのか? – 中国における生成AI規制”

Llamaライセンス契約を適用するAIモデルを使用する際の多大なリスク

Meta Platforms社のLlamaモデルならびにLlamaライセンス契約(Llama Community License Agreement)がオープンソースに全く該当しないことは既に解説した通りであるが、Lla続きを読む “Llamaライセンス契約を適用するAIモデルを使用する際の多大なリスク”

Llamaライセンス契約のオープンソースへの適合性について

Meta Platforms社が開発するAIモデルのシリーズである「Llama」は、高性能で費用対効果が高く、比較的寛容な条件で頒布されていると多くの人々から見做されていることからシステムへの採用や派生モデルの開発等の利続きを読む “Llamaライセンス契約のオープンソースへの適合性について”

オープンソースAIとは何か? – Open Source AI Definition策定経緯とドラフト版概説

オープンソースAI(Open Source AI)とは、オープンソースの状態にあるAIシステムのことである。これはある意味で自明なのではあるが、「オープンソースの定義」(OSD)を管理している米国の非営利団体Open S続きを読む “オープンソースAIとは何か? – Open Source AI Definition策定経緯とドラフト版概説”

「頒布」という訳語を使用するのは何故か?

オープンソースに限らずソフトウェア業界においては、distributeもしくはdistributionという単語を使用することが多い。そして、その単語への日本語訳としては「配布」を割り当てることが多いだろう。しかしながら続きを読む “「頒布」という訳語を使用するのは何故か?”

倫理を振りかざすライセンスが好ましくないのは何故か?

オープンソースが社会で受容されるにつれ、コミュニティの中においても一定の倫理が求められる傾向が強まっている。Code of Conduct(行動規範)を定める開発プロジェクトが多くなったのもその流れだろう。しかしながら、続きを読む “倫理を振りかざすライセンスが好ましくないのは何故か?”

オープンソースにおける無保証と免責の条項

オープンソースの定義にはオープンソースであるライセンスで定めるべき条件もしくは定めてはいけない条件が記述されているが、オープンソース・ライセンスと呼ばれるものに必ずのように含まれる条項も存在する。いわゆる無保証と免責の条続きを読む “オープンソースにおける無保証と免責の条項”